HYG-038 調整計画『ブリッジピン・弦交換』

sinya

2013年07月17日 17:53

【sinyaが開発!弾く脳トレ!よなおしギター】


さて、前回の弦高調整により、1弦<1.8mm> 6弦<2.4mm> と、目標の弦高に近付いたHYG-038ですが。
本日はいよいよ、調整計画最後の作業『ブリッジピンと弦の交換』です。

ブリッジピンも弦も、簡単に交換できますので、それほど大変な作業ではありませんが。これで調整作業が終わるということは、この作業が終わった時には『弾きやすくて良い音のギター』になっていて欲しい訳です。
もし、調整作業の全工程が終了した時点で、例えば音に納得できなければ、また調整を考え直しやり直さなければなりませんからね。

そんな不安を抱えつつ、早速、作業を始めます。


まず、ブリッジピンの交換ですが、このブリッジピンを使うことにしました。



グラフ・テック社のTUSQ製ブリッジピンです。

このピン、以前もご紹介しましたが、人口の象牙で出来ています。で、結構高価なピンです。
低価格のHYG-038に対する低予算の調整計画には、そぐわない感じがしますが。実はこのピン、HYG-038の調整計画を考えるズッと以前に『間違ってオーダーしてしまった』ものなんです。返品も考えましたが、そのうち役に立つかもしれないと取って置いたんです。

HYG-038は、低価格とはいえ、とても使用頻度の高いギターです。それに、そもそも生徒さん用のギターですので、これぐらいの贅沢はしても良いと思いまして。TUSQ製ブリッジピンを付けることにしました。


一方、弦ですが。こちらも、以前の記事でご紹介した『エリクサー』のカスタムライト・ゲージです。



劣化の遅さと弾きやすさに加え、音も私の好みですので、文句なしで採用です。

で、ブリッジピンと弦の交換に関しては、作業風景の画像は省略しますが、作業後のHYG-038の画像をアップします。

全体



ブリッジ部



さぁこれで、予定していた調整計画は一応終了いたしました。

調整後のHYG-038の弾き心地・音はどうなったでのしょうか?
私なりの感想を書いてみます。


まず、弾き心地です。

弾き心地に関しては、最高の結果になりました。
元々がとても弾きやすいギターですから。そのギターをさらに、弦高を低くして弦のゲージを下げましたので、弾きやすさという点では『これ以上無い』という状態になりました。

当初の『立って弾きやすいアコギ』という目標に関しても、達成感は高いです。以前、同じように立って弾くことを想定して調整したAPX700Ⅱも、調整後かなり弾きやすくなったのですが。ボディが小さくスケールが短い分、弾きやすさはHYG-038に軍配が上がります。

この弾き心地は、エレキギターの弾きやすさともまた違っています。ボディが軽いお陰か、エレキには無い独特の『シックリ感』があって、『本来、アコギは立って弾くものではないか』と思わせるほどの『弾く楽しさ』を体験することが出来ます。
もちろん、アコギを座って弾くことを否定している訳ではありませんが。立って弾くアコギは、ホントに楽しいですね。


次に、音です。

こちらは、かなり残念な結果になりました。
実は、弦高調整をした後、弦高チェックの為に弦を張ってチューニングし始めた時点で気が付いていたのですが・・・

調整前とかなり音が変わってしまったんです。

何か、コモッタ感じで、音が引っ込んでしまったというか音に薄い膜が掛かっている感じというか。
とにかく、調整前の『低音の優しい音と高音のハッキリした音』という長所が、スッカリ無くなってしまっていたんです。
弦高を低くすることによる音の影響は、ある程度覚悟していましたが・・・

正直「これはヤバイ!」と思いました。

ただし、この音の変化に気が付いたのは、まだブリッジピンと弦を交換する前でしたので。ブリッジピンと弦を換えれば、ある程度は改善できるだろうとも思いましたが。ただ、ギター本体のバランスが、良い状態から崩れてしまったのは明らかです。

何とかしなければなりません。

弦高調整の時、サドルの底面を削った訳ですが、今回の作業は非常に上手くいって『サドル底面は平ら』である自信があります。
そうなるとこの音の変化の原因は、単純に『弦高が低くなったことによるもの』だと思ったので・・・
弦高を少しだけ高くすることにしました。

その方法が『トラスロッドの調整』です。

トラスロッドは、ギターのネックの中にある長いボルトです。本来は、ネックが反った状態になってしまった時に締めたり緩めたりして、本来の真っ直ぐな状態のネックに戻す為に使うものです。
ただし、この『トラスロッドの調整』を、ネックの反りを治す目的以外に行うことがあるようです。

それが『音色を変える』目的です。

当然、ネックの反りの状態が変われば弦高も変わりますね。そうなれば『音色』にも影響をもたらせる訳です。
今回のHYG-038の調整では、弦高が低くなったことによって音が変わってしまったと予想できます。なので、今度は、少しだけ弦高を高くする、要するに『ネックをワザと順反り気味にする』ようにトラスロッドを調整する訳です。

『トラスロッドの調整』が、どれぐらい音に影響するのか分かりませんが、実験的にやってみることにしました。

HYG-038は、ヘッド部分にトラスロッドの調整口があります。




黒いカバーを外すと、トラスロッドの先端が見えました。六角レンチで簡単に回すことが出来ます。




まずは、『ワザと順反りにする』ので、緩める方向にレンチを回します(反時計回り)。一度にあまりたくさん動かさないように注意しなければなりません。大体『4分の1回転』ほど回しました。
で、この状態で弦を張りましたら、弦高がだいぶ高くなってしまったのて。これでは、仮に音が良くなっても、いずれはまた不満が出てしまうと思いました。

ですので、次に。トラスロッドを締める方向(時計回り)に戻してみました。先ほど緩めた分の半分程度です。
再度、弦を張ってチューニングしてみると、今度は弦高に違和感はありません。ただ、肝心の音はそれほど変わっていないような感じです・・・。

「トラスロッドの調整は、それほど音に影響しないのか・・・」

と、半ば諦めて。その後、本日の『ブリッジと弦の交換』を行った訳です。
さすがに、ブリッジを『TASQ製』にして、弦を新品の『エリクサー』にしたので、ある程度は音がハッキリとして良い感じにはなりましたが。この時点では、まだ不満のある音だったんです。

という訳で。HYG-038の調整計画は、多少の不満点を残したまま終了となりました。


ただし!この調整計画には、後日談があるんです。

調整が終わったHYG-038は、弦のチューニングをしたまま一晩ギタースタンドに置いておきました。
で、次の日、HYG-038を弾きましたら・・・

明らかに「音が良くなっている!」、これには驚きました!

前日の、いかにも『コモッタ音』とは明らかに違う『ハッキリとした音』に変わっていたんです。一日で一皮剥けたと言いますか、音量に関しても、前日までの『広がりの無い小さな音』とは明らかに変わって『バンッと大きな音』がします。

これは、嬉しい誤算でした。

弾いていても非常に気持ちが良いぐらいの音になっていたので、何で一日でここまで音が変わるのかと、とても不思議に思ったんですが・・・どうやら、トラスロッドを調整して、ネックの状態が落ち着くまでに、ある程度の時間が掛かるようなんです。
本当にそれが要因なのかは定かではありません。ただ、HYG-038の音が一日で激変したのは確かです。

ギターの全体的なバランスが良くなったお陰で、弦の性能も引き出されるんですね、やっと『エリクサー』本来の音を出してくれるようになりました。もちろん『TUSQ製のブリッジピン』も効力をより発揮していると思います。

最終的にHYG-038は、『弾きやすさ』も『音』も、かなり目標に近いギターになりました。
いつものように行き当たりバッタリの調整で、確かな根拠も無く進めてしまったのですが。奇跡的に『弾いていてスゴク楽しいギター』になりました。

ただし。『音』に関しては、多分、調整前の状態の方が良い音がしていたと思います。

今回、HYG-038の調整を終えて確実に言えるのは『素人は、バランスの良いギターをイジらない方が良い』ということ。

今後は、調整に関してもっともっと勉強して、素人からの脱却を目指したいと思います。


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