ブルースの定番バッキングをキイEで演奏してみる

sinya

2013年09月21日 00:12

【sinyaが開発!弾く脳トレ!よなおしギター】


『ブルースの定番』シリーズは、先日まとめの記事を書きましていったん終了した訳ですが。

ブルースの本当の面白さは『定番をマスターした後』にあると思うんです。

これは、他のジャンルでも同じことが言えると思うのですが。確かに、『定番』と言われる技術を身に着けることで、そのジャンルの楽しさを味わうことは十分に可能だと思います。

ただ、前回も書きましたように、技術が上達すればするほど『定番』と言われるものを使わない傾向になってくるんですね。

結果的には、CDやネットやライブなどでブルース演奏を聴いても、『定番フレーズをあまり聴くことが出来ない』ということになってしまいます。

特に、『定番バッキングパターン』でご紹介した、1度と5度のコード、いわゆる『パワーコード』でのバッキングパターンは、それがあまりにも『定番』であるが故に、上級者が使うことも少ないのではないかと思う訳です。

と、なると・・・

いったい、上級者はどんなバッキングをするのか?

という疑問が、当然出てきますよね。
この疑問に対して、元も子もない回答をしますと・・・

『アーティストの数だけブルースのバッキングパターンが存在する』

もっというなら、『例え同じアーティストが同じ曲を演奏したとしても、その日の気分でバッキングパターンが変わる可能性もある』

要するに、『定番はあるけど決まりがない』という自由度の広さが、ブルースの素晴らしいところで。この懐の深いところが、ここまで発展した1つの理由でもあると思うんです。

つまりは、『決まりを作ってしまったらブルースではなくなってしまう』と言えるのかもしれません。

じゃあ、どうやって演奏すればよいのか?

と、これも当然の疑問ですが。その答えとしては・・・

『適当で良いんじゃないか』と、また元も子もない回答をせざるを得ない訳です。

ただ、それだとあまりにも無責任ですので。
本日は、『定番』と『適当』との橋渡しとなるかもしれない演奏方法を考えてみたいと思います。


まず、これまでの『ブルースの定番』シリーズは、すべてキイを<A>でやってきましたが、今回からは、キイを<E>に変更します。

<E>というキイも、これまたブルースには欠かせない、非常に使用頻度の高いキイとなります。

キイ<E>がブルースで多く使われる理由の一つは、『6弦の解放の音をたくさん使うことが出来る』というところにあると思います。

ギターのレギュラーチューニング(一般的なチューニング)では、6弦の解放の音は<E(ミ)>になりますよね。ということは、キイをにすれば『ギターで出る一番低い音』を、最も主な音として使うことが出来るという訳なんです。
これまでやってきた、キイ<A>のブルースよりも低音が強調されて、何だか迫力のあるブルースが出来そうですよね。

という訳で、キイ<E>のブルース進行を書いてみます。




基本的な構造は、キイ<A>のブルースと全く同じです。
ですから、もちろん『ブルースの定番バッキングパターン』を使うことも可能です。

実際に、『ブルースの定番バッキングパターン2』で練習した、1度と5度のパワーコードに、6度と♭7度の音を加えた、よりブルースっぽいバッキングで演奏してみました。




いかがでしょうか?
ギターの一番低い音をメインで使うことが出来るキイ<E>のブルースは、迫力が増すような感じがしませんか?
このように、キイ<E>のブルースでも『定番バッキング』で演奏出来れば、それで十分のような気がするのですが・・・

動画をよく見ると、明らかに『難しそうな押さえ方』をしている箇所がありますよね。お気付きになりましたか?

そうなんです。じつは、キイ<E>のブルースには<B7>というコードが出てくるんですが。<B7>コードの1度である<B(シ)>の音は、ギターの解放では2弦にしか無いんです。

2弦では、音が高すぎてちょっとベース音としては使えませんね。

ですから、<B7>の1度の音は『解放を使わずに指で押さえなければならない』ことになり。結果、1度と5度の押さえ方と、6度♭7度の場所は、以下のようになってしまうんです。




これ、上記の画像を参考に、1度5度を押さえながら、さらに6度と♭7度を押さえてみてください。

いかがでしょうか?
左手を相当頑張って開かないと届きませんよね?もしかすると、届かない方もいらっしゃるかもしれません。

これでは、確かに音だけなら『定番』ではありますが。とても、万人が演奏するという意味での『定番』という位置付けは、あり得ない気がします。

そこで、考え方をガラッと変えてみましょう。

ワザワザ、押さえるのが難しい演奏方法を選ぶ必要はありません。<E7>や<B7>とコードネームが書いてあるのですから、そのままそのコードを押さえて弾けばイイのではないかと思う訳です。

つまり、<E7>も<A7>も<B7>も、キイ<E>のブルースに出てくるコードを全て『ローコードで押さえちゃえ』ということです。

ここで、各コードのフォーム表を載せます。他のフォームも考えられますので、イロイロ試してみて押さえやすいフォームで演奏してみて下さい。








そして、上記のローコードで演奏した動画です。




最後に、何故このキイ<E>のブルースが『定番と適当との橋渡しとなるかもしれない演奏方法』となり得るのか、簡単にご説明します。

要は、1度5度を主体としたバッキングは、当然2本の弦しか使いません。
ところが、ローコードを使えば、5~6本の弦を使うことが出来る訳です。

鳴らすことが出来る弦が増えれば、当然、奏でられる音が増えてパターンの幅が広がります。
ローコードを押さえてしまえば、5~6本のどの弦を鳴らしても『外れた音が出ない』ということになります。それはつまり、いくら『適当』に弾いても、伴奏として失敗する可能性が無いことを意味しているんです。

まずは、『適当な伴奏』の前準備として、キイ<E>のブルースをローコードでスムーズに演奏できるように練習してみましょう。


☆関連記事 ブルース定番シリーズ!

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・ブルースの定番バッキングパターン2
・ブルースの定番バッキングパターン3
・ブルースの定番イントロパターン1
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・ブルースの定番エンディングパターン1
・ブルースの定番エンディングパターン2
・ブルースの定番シリーズまとめ
・ブルースの定番バッキングをキイEで演奏してみる


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