⇒【sinyaが開発!弾く脳トレ!よなおしギター】
ギターリストなら誰もが1度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
『ポジションマークの位置はどうやって決まったの?』
『ポジションマークの位置に意味はあるの?』
始めに書いておきますが、
この疑問に対する明確な答えはありません。
ただ、いくつかの説のなかで、私が好きなものを1つ挙げてみます。さらに、私なりに新しく
意味のあるポジションマークの位置を考えてみました。
【弦楽器の始まりから考える】
現在、ギターのポジションマークは、
3,5,7,9,12フレットに付いているのが一般的ですが、これもメーカーや種類によってバラつきがありますね。
ギブソンでは1フレットに付いていたり。マーティンの指板には3フレットに付いてなかったり。
また、クラシックギターでは、マークが1つも付いていないものや、9フレットではなく10フレットに付いている場合もあるようです。
いずれにしても、何故その位置に付いたかの明確な答えは見つからないようですが、諸説ある中で
『弦の長さの半分、3分の1、4分の1の場所に付いていった』という解説が私は好きです。
この
『弦の長さの半分、3分の1、4分の1』という表現をみると、以前の記事を思い出すわけです。
【弦楽器の始まりを考えてみたよ!⇒】弦楽器の始まり~神の音程~
リンク先の記事は、まだギターが誕生するずっと前の弦楽器の原型で
『弦の半分』『弦の3分の1』『弦の4分の1』の場所に印をつけていったのではないか?と、勝手に想像して書きました。
勝手に想像したとはいえ、『何も押さえない元の音』を加えたこの4つの音で音楽的なものが奏でられていたのではないかという説は、確かに存在します。
『弦の半分』『弦の3分の1』『弦の4分の1』それぞれにポジションマークを付けると以下のようになります。
弦の半分→12フレット
弦の3分の1→7フレット
弦の4分の1→5フレット
そう考えると、正に
『印』が
5,7,12フレットに付いているのは、とても納得がいきますね。
【もっとシンプルに考えてみる】
だだそうなると、その他の3フレットや9フレットの意味は?となるわけです。
見方を変えます。
弦楽器の始まりなどは一切考えずにギターを眺めると、ポジションマークは単に
『奇数フレット』に付いているとも言えます。(12フレット以外)
そう考えると、ポジションマークの位置に意味なんて無くて、ただ単に1つ飛びに付けた『目印』だという考えもできますね。
そう考えても、全世界のギターリストはこのポジションマークの位置で演奏ができていますので、まったく問題ないわけです。
個人的には1つ飛びにマークがあると
『4度進行が分かりやすい』ということがあります。
楽曲で頻繁に出てくる4度進行は、5弦ルートから6弦ルートに進行するときに
2フレット分下がるという動きをしますので、それがどこから始まっても2フレット間隔のマークはかなりの目印になります。
ただそれでも、やはり一般的な
3.5.7.9.12フレットのポジションマークに、それほど明確な意味はないのだろうと思います。
【20年以上前のアイディア】
実はこのポジションマークについて、私は今から
20年以上前に疑問を持ち、自分なりに
新しいマークの位置を考え実際にその位置にマークを付けた改造ギターで演奏をしていました。
昔からこの性格は変わってないですね....
そのマークの位置が、
3、8、12フレットの3か所です。
これには明確な理由があります。それが...
Cの位置
です。
レギュラーチューニングでは、5弦の
3フレットと6弦の
8フレットに
Cの音がありますね。
【ギターリストにとって非常に大切な5,6弦の音名配列はこちら⇒】ギターの指板上の音名は覚える必要があるか?
私がこの改造したギターを弾いていたのは、毎日毎日スケールの練習に明け暮れ、さらに
『ピアニストがピアノを弾くようにギターを演奏したい!』と
ピアノ脳(私が作った俗語)の獲得を切望していた時期です。
ピアノは、極端な言い方をしてしまえば
『ハ長調の楽器』です。
これは五線譜も同じで、どちらも
ハ長調の曲の時が最も弾きやすい作りになっています。
ハ長調とは
キイC(シーメジャー)ということ。その主音はもちろん
『C』です。
【ピアノとギターの構造的な違い】
この度、二胡の演奏経験や、それに関連して過去の『度数譜』の記事を見返してすっかり忘れていた20年前の暴挙を思い出したのですが、それと同時に、
キイの主音の大切さを改めて確認しました。
主音は多くの場合、メロディの最後の音になります。一番落ち着く音ですね。
これはアドリブやソロ作りでもいえますが、演奏者は演奏中に常にキイを意識する必要があり、それはつまり
『キイの主音がどこにあるのか?』を常に意識して弾く必要があるということです。
この時、ピアノの場合はハ長調が一番弾きやすく『C』の位置も分かりやすい。
例えば、どこの高さでも『ドから始まるCメジャースケール』を弾くことが、恐らく幼児でもできるでしょう。それはつまり、主音を常に意識することが容易ということです。
一方で、ギターは『Cの位置』が指板の上にランダムに点在していますから、始めの内はなかなか覚えにくい。
つまり、
『ギターはキイの主音を楽器上の位置として認識するのが非常に難しい楽器』ということが言えるのではないでしょうか。
【Cメジャースケールに掛ける意気込み】
もちろん、経験豊富なギターリストならキイの主音を楽器上の位置で無意識に認識できるでしょう。
問題は、
経験が浅い演奏者です。
『Cメジャースケール』の練習に重点を置いている私の教室では、もちろん生徒さんにこのスケールをたくさん弾いてもらいます。
5弦ルートのCメジャースケールは、皆さんすぐに『Cの位置』を見つけてスタートできるんです。理由は簡単で、5弦Cの位置の3フレットにはポジションマークが付いているからです。
で、問題は6弦ルートです。
先にも書いたように、6弦の『Cの位置』は8フレットです。一般的にはポジションマークが無いところです。
で、
みなさん、メチャクチャ迷う。
もう何年も通ってくださっている生徒さんでも、とっさに6弦ルートCメジャースケールがスタートできない場合もあるぐらいです。
このブログを以前から読んでくださっている方は、私の
『Cメジャースケール』に掛ける意気込みをご理解していただいていると思いますが...
『Cメジャースケール』の技術的、理論的な理解は、ギターの上達を圧倒的に早めます。
【Cメジャースケールについてはまずこの記事から⇒】Cメジャースケールを練習しよう!~ギターにおけるCメジャースケールの重要性~
【ギターをピアノの感覚に近づける】
つまり、ギターを始めたばかりの方にとってもっとも重要なのは
『Cメジャースケールのスタート(主音)位置が分かること』、すなわち
『Cの位置の認識』
です。
そして、『Cの位置』が明確になり、Cメジャースケールが体に染み込んでくると、次は他のキイに移るわけですが、その時も
『ド(1度)からどれくらいの距離の音を弾いているのか』ということが出来るようになってきます。
つまり
『ハ長調が基準になる』ということです。
これは本当に私の想像ですが、ピアノを演奏するときの感覚に近いのではないでしょうか。
【初心者に優しいギター】
ポジションマークは経験を積めば積むほどただの『飾り』になっていきます。また、初級を脱すれば変則チューニングをするようにもなるかもしれません。
つまり、上級者にとっては
『どこにポジションマークが付いていても関係ない』のです。
それならば、
初心者の上達を最優先してポジションマークの位置を決めることを考えても良いのではないでしょうか。
それがひいては、
ギター人口の増加にもつながるのではないかと大袈裟ですが思っています。
【新しいポジションマーク位置を考える】
私が20年前に使っていた
3フレットと8フレットにポジションマークがあるギター、使い心地はどうだったかというと、理論的な理解には非常に優れていました。
指板上のピアノ的(ハ長調的)理解にはとっても役にたったんです。
その代わり、(12フレットまでで)2つしかマークがないので、特にライブなどではかなり混乱することがありました。
これは慣れの問題もありますが、私がいざとなった時にどれほどポジションマークを頼りにしていたかも理解できました。
そして今回、それらの反省点を踏まえて、新しいポジションマークの位置を考えました。
3フレット8フレットは、それぞれ5弦6弦の『Cの位置』を示したものです。これをもう少し広めて、
全ての弦の『Cの位置』にマークを付けたらどうだろう?
各弦の『Cの位置』は次の通りになります。
1弦・・・8フレット
2弦・・・1フレット
3弦・・・5フレット
4弦・・・10フレット
5弦・・・3フレット
6弦・・・8フレット
つまり、マークの位置は
1,3,5,8,10
です。これに弦の半分の12フレットは必要でしょう。
これならポジションマークの数としては妥当。しかも、今の一般的なマークの位置と比べて違いが少なく、意外とベテランギターリストも混乱が少ないと思います。
そしてなにより、
初心者にとって全ての弦の『Cの位置』が分かりやすいので『Cメジャースケール』が弾きやすいのと同時に、指板上の音名配列がとても分かりやすくなるでしょう。
【新しいポジションマークの実用化は可能か?】
20年前に私が考えたポジションマークのギターは、結局2年ほど使っただけでまた普通のギターに戻してしまいました。
その理由は、
好きなギターが弾けないからです。
既存の
3,5,7,9,12というポジションマークの位置は、あまりにもメジャーになっています。この仕様を変更したギターをメーカーが制作することは、例えそれが理論的に意味がありギター初心者に優しくても、絶対にありません。
実用化は不可能です。
もし新しいポジションマークのギターが欲しい場合は、それなりのお金を使ってカスタムしてもらうか、自分で手間をかけて改造するしかありません。
そんなわけで、当時、どうしても『GibsonフライングV』が欲しかった私は、新しいポジションマークへの探求を諦めてしまったんです。
【よなおしギターへの礎】
二胡を演奏してみることで『度数』や『度数譜』の持つ力を再確認したのをきっかけに、忘れていた20年以上前のポジションマークへの探求を思い出しました。
もしかすると、よなおしギターのアイディアは、それら当時の
『ハ長調の楽器』『ピアノ脳』『既存のギターへ対しての疑問』などの考えが潜在的に作用して生まれた可能性があります。
ギターのポジションマーク位置を
1,3,5,8,10にするだけで、初心者に優しく音楽理論の理解がしやすいギターが完成します。
ただし、
それ以上の効果を、よなおしギターはもたらせてくれるのです。
だから、私が考えた新しいポジションマークのギターは、もう必要ないでしょう。けど......
1本は作って試してみたいな~
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