『裏』を意識してみる~ギター習得の手順と『HeyHey』再挑戦~

sinya

2013年11月27日 23:42

【sinyaが開発!弾く脳トレ!よなおしギター】


当教室でのアコースティックギターのピッキングに関する習得手順は以下のようになります。

1.親指を使ってCメジャースケールやコードを弾く練習をする。

2.親指を使ってアドリブでメロディを弾けるように練習する。

3.フィンガーピッキングによりアルペジオ・スリーフィンガーの練習をする。

4.ピックを使いダウンピッキングのみでCメジャースケールやコードを弾く練習をする。

5.ピックを使いダウンピッキングのみでメロディを弾けるように練習する。

6.ピックでダウンストローク・アップストロークの練習をする。

7.ピックを使ったアルペジオを練習する。

8.ピックを使って1曲演奏できるように練習する。

9.ピックを使ってオルタネイトピッキングでCメジャースケールを練習する。

10.ピックを使ってオルタネイトピッキングでメロディを弾けるように練習する。

※フラットピックを使うかサムピックを使うかは、生徒さんと相談して決めていきますが、いずれは両方使えるように練習します。


大体このような流れで、かなり時間を掛けながら、あらゆるピッキング方法の習得を目指していきます。
当然、生徒さんの経験年数や習得スピード、個性などによって前後する場合もありますが。ほとんどの場合、上記の順番で練習していくことで、フィンガーピッキングでの演奏もピックを使った演奏も、スムーズかつまんべんなく習得していくことが出来ると思います。


さて。先日のレッスンでのことです。

その生徒さんは、ピッキングに関して手順1~5まで順調に進んできました。
その方は、まさに『練習の虫』とでも言いましょうか。ご自宅での練習は、お仕事がお忙しいながらも、相当な量をこなしています。もちろん、ご自宅での練習を私が直接見ている訳ではありません。ただ、これはどんな教室の講師も同じだと思いますが・・・

レッスンでの様子を見れば、その生徒さんがどれぐらい自宅練習をやったのか、相当の正確さで把握する自信があります。

で、その生徒さんも、お仕事が超多忙だった一時期以外は、シッカリ継続して相当の練習を続けています。

ただ、ここにきて、ピッキング習得手順5で、少し壁にぶつかってしまいました。

つまり、『ピックを使ったダウンピッキングで上手くメロディが弾けない』という状態で。どうしても『弾きたい弦以外の弦をピックで弾いてしまう』ことが多いんです。

そんな生徒さんの様子を見ていて、私は、ある練習方法をお伝えするつもりでレッスン計画を立てていました。
で、先日、生徒さんにそのピッキングに関する新しい練習方法とその効果をお伝えすると・・・

生徒さん曰く、「自分も(解決するための)練習方法を教えてもらうつもりでした」とのこと。

さすが、練習をたくさんやられる方は、自分にとって次にどんな練習が必要なのかも、シッカリと把握することが出来るんですね。
という訳で、お互いの思惑が一致しましたので、早速その練習方法をお伝えしました。

結果的には、そのレッスン内で、今まで練習してもなかなか上手く出来なかったピッキングを、アッという間に克服してしまいました。

それはまるで『開花した!』瞬間でした。これには、生徒さんも私も驚くやら嬉しいやらで、その後のブルースのアドリブなども大いに盛り上がりました。
生徒さんが壁を乗り越える瞬間を目の当たりに出来るのは、講師にとって本当に幸せなことです。

で、その時私が生徒さんに教えたのは『クロマチックをオルタネイトピッキングで弾く練習方法』です。

いわゆる『クロマチックトレーニング』のやり方をお教えして、生徒さんはホンの10~15分ぐらいやっただけで、苦手を克服できたんです。
つまり、上記のピッキング習得手順の6~8を飛ばしたことになります。しかも、以前の記事で書いたように、私自身『クロマチックトレーニング』をそれほど大切と思っていません。なのに、ワザワザ大切なCメジャースケールの代わりにクロマチックを弾く練習をお勧めしたんです。

手順を飛ばしてまで、普段はお勧めしないクロマチックトレーニングをやって頂いた理由は、『その生徒さんに合っていると思ったから』という事につきます。

言ってしまえば、『閃き』です。

まぁ、生徒さん達からしてみると、『閃き』でレッスン計画を立てているなんて、不謹慎な感じですが・・・
実際、教室で1対1で向き合って一緒にギターを弾いていると、相手のことが良く分かってきます。ギターに取り組む姿勢ももちろんですが、性格的なことも含めてです。
そんな状態が数カ月続けば、『その生徒さんにとって最も効率的な練習方法は何か?』ということも、自然と思い浮かんできます。

今回の生徒さんは、ご自宅で黙々と練習をされる方です。『黙々と練習』でまず私が思い付くのが『クロマチックトレーニング』です。
しかも、今はピッキングで悩んでいることが一目瞭然だったので。このタイミングなら、最も生徒さんに合った効率的なトレーニングになるだろうと思ったんです。

『クロマチックトレーニング』の効果は、予想以上でした。

私が思っていた以上に、その生徒さんにとって効果的だったんです。そこまでの効果が出た理由は、完全には分かりませんが、少し考えてみました。

オルタネイトピッキングは、アップピッキングが『裏拍』になることが多いですね。今までダウンピッキングのみで練習していたものが、アップピッキングを加えることでリズムが掴みやすくなったのかもしれません。
また、今までは、ダウンピッキングをした後のピックの位置が安定しなかったから、次の音が上手く出せなかったのかもしれません。それが、交互にピッキングを行うことで、機械的に弦をとらえることが出来たという事も考えられます。

でもやはり、総合して考えると、その生徒さんはもう十分にオルタネイトピッキングでしっかり演奏できるだけのテクニックとリズム感を身に付けていらっしゃったと考えるのが妥当だと思います。

それは、生徒さんご本人が、たくさんたくさん練習して培っていったものです。

逆に言えば、私がもっと早くそのことに気が付いていれば、生徒さんは壁にぶつかることもなかったという事です。
お伝えした練習方法は間違っていませんでしたが、もっと早く気が付けるようにしていかないとダメですね・・・。


このように、練習しても練習してもなかなか上手く出来ない時は必ずあります。ただ、ちょっとしたキッカケで、一気にスルスルっと出来るようになることも多々あるんです。

で、私の経験では、そのキカッケは『回り道』で発見することが非常に多いんです。

つまり、自分が正しいと思ってやっている、あるいは、教則本などに書いてある通りにやっているのに上手くいかない時には、少し違った方法で試してみると上手くいく時がある。
自分の考えや教則本やみんなのやり方が『王道』だとすれば、そこから外れて『回り道』をしてみることで『自分にとっての答え』が見つかる場合が多いという事です。

オルタネイトピッキングにより『裏拍』を意識することが出来たために『表拍』も的確に弾けるようになったように。
表を大切にするあまり気が付かなかった『裏を意識する』こと、つまり『王道ではなく裏道』にこそ答えがあるかもしれないということを常に意識しながら練習することも大切だということですね。

もちろんそれには、『明確な王道』を作る必要があります。つまり、基本的な練習をたくさんして基礎テクニックを理解していなければ、当然、そこから外れて回り道することなんて出来ませんから。


この『王道の裏を意識する』ことでテクニックのコツを掴んだ経験を、実は私も最近したんです。

以前、『HeyHeyをツーフィンガーで弾いてみました』という記事で、ブルースの名曲『Hey Hey』をツーフィンガーで弾いた演奏動画をアップしました。
まぁあの時は、非常にガタガタの演奏を晒してしまい、何ともお恥ずかしい限りなのですが。

実はその後、『ブルースをツーフィンガーで弾くコツ』が、少しですが分かったんです。

今までは、ビック・ビル・ブルーンジーのあの親指による強烈なベースを意識するあまり、自分も右手の親指にばかり気が行ってしまっていました。
「ベースを強く!」とか、「親指で一気に弾き下ろして!」とか、そんなことばかり考えて演奏していたんです。
まぁ、その結果が、あのお恥ずかしい動画な訳ですが・・・

で、最近、また久しぶりに『Hey Hey』を弾いたのですが。久しぶりだったので、メロディを思い出すために『メロディを弾く右手の人差し指』に意識を集中して練習したんです。
まさに、人差し指は『裏拍』を弾くことが多いのですが・・・。『裏』に意識を集中した途端、そう、『表』である親指が軽々と動いて自然にベースを弾き下ろすことが出来ていたんです。

今までは、ベースや親指ばかりを意識していたので、かえって力が入り過ぎていたのでしょう。意識すればするほど動きが硬くなていたんですね。で、意識を別の人差し指に移すことで、『意識から親指が解放されて』軽く動くようになったと思われます。

つまり、『ベースを弾く親指がブルースの王道』と思っていたのですが、実は『メロディを弾く人差し指』にこそ私なりの答えがあったんです。




まだまだ、演奏的には満足がいきませんが。自分なりの答えを見つけることが出来たので、それを元にもう少し練習してみます。


教室に通って下さる生徒さん達にとっての『ギター習得の王道』は、もちろん、私がレッスンで教えている内容になるでしょう。
私も、記事の最初に挙げたピッキング習得手順の様に、理論やテクニックなどの習得方法について、ガイドラインとなる『王道』を設定しています。
ただ、全ての人にその『王道』がマッチしているとは限りません。当然、その生徒さんなりの答えとなる『裏道』が存在する場合も、当たり前のように考えなければなりません。そして、『裏道』だからこそ、本人が気が付かないことが多々あることも。

ギター教室の講師として、王道はもちろん、生徒さん1人1人にあった『裏道への道案内』も的確に出来るようにならないといけないと、今回のクロマチックトレーニングの件をキカッケに強く感じました。


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