2013年02月18日
ブルース・スケール
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さて。昨日は、ブルースの音源だけではなく、歴史的背景やブルースマンの生き方などを少しだけ理解するために、映画『CROSSROADS』を観た訳ですが。
関連記事【『CROSSROADS』~ブルースを気軽に学べる映画~】
例えば、この映画を観て多少ブルースが分かったとして・・・
じゃあいったい、ギターでブルースをどうやって弾くの?
ってことになる訳です。当然ですよね。
一般的には、ギターリストが『ブルースっぽい』フレーズを演奏しようとする時には、『ブルース・スケール』あるいは『ブルーノート・スケール』といわれるものを使ったりします。
でも、映画『CROSSROADS』を観るとですね、この『スケール』という言葉が、何だか『ブルース』という文化にマッチしていないことが理解できるんです。何だか分からない『違和感』がある訳です。
まぁ、当然なんです。そもそも『スケール』とは西洋音楽の概念ですので、それをブルースに当てはめようとしている訳ですから、それこそ師匠ウィリー・ブラウンに『学校仕込みのスケールなんか、フンッ』と、かなり下品な言葉で怒られてしまう訳です。
もしこの映画を観て、『スケール』と『ブルース』の間に『違和感』を感じたら、あなたもブルースマンに近づいている証拠です。喜んで下さってOKです。
では、なぜギターリストはブルースを演奏する時に『ブルース・スケール』を弾くのでしょうか?
答えは簡単です。それだけで『ブルースっぽく』なるからなんですね。
何も考えずにブルースらしい演奏が出来てしまうからなんです。これが、スケールの怖いところですね。
スケールは、ブルースに限らず、何かを『それっぽく』演奏する為に非常に便利なツールなんです。ですから、何でもかんでもスケールさえ覚えて弾けば良いと思っている『スケール至上主義』のギターリストは多いと思います。
もちろん、それが全て悪いとは言いません。それで素晴らしい演奏が出来れば、OKなのですから。
ただ、この辺りが、ギターを始めようとする人たちにとっての『壁』になっている可能性もあるのではないか?と思う訳です。
今、本棚にあるJAZZのバイブルを見ましたら、載っているスケールが全部で19ありました。
JAZZを始めようとする人がこのバイブルを見て、『これを全部覚えないとJAZZは演奏できないのか・・・』と思い、やる前に挫折する確率は高いです。仮に、頑張って覚えようと思っても、途中で挫折するか。全部覚えても、その『使い方』が分からず、結局JAZZを1曲も演奏せずにギターを置いてしまう確率も、やはり高いでしょう。
さらに、『音楽理論の勉強』と聞くと、このたくさんのスケールを覚えたり、もっとたくさん存在するコードを覚えたりしなければならないと思ってしまうらしく。そこで抵抗感が出てきてしまうんですね。
ここで断言しましょう。スケールは取り合えず『メジャースケール』だけ覚えれば十分です。
その証拠に、『メジャースケール』を利用して『ブルースを心から理解して演奏する方法』を、今から解説します。
昨日ご紹介した映画『CROSSROADS』。その中のウィリー・ブラウンの台詞に「ブルースは失った女を想う、男の悲しみだ」というものがあります。
全てのブルースがその思いだけで出来ている訳ではありませんが、こういった身近な感情を音に込めて演奏していくのがブルースだということは言えると思います。
ですから、ここでは『あなたが、大切な恋人を失った時の感情』を音で表現してみたいと思います。それが出来れば、心から理解してブルースを演奏することになる訳です。
今から、いくつかの質問をしていきますので、『あなたが、大切な恋人を失った時のこと』を思い出しながら(経験が無い方は想像しながら)どちらかを選んでいって下さい。
※3つ目の選択肢として『どちらでもない』という選択も有りです。
質問1
その時のあなたの行動は?
『A.周りのもの全てを破壊したい』or『B.静かにしていたい』
質問2
その時の感情は?
『A.暗い』or『B.明るい』
質問3
その時に感じることは?
『A.優しさは感じない』or『B.優しさを感じる』
質問4
その時の気分は?
『A.憂鬱な気分』or『B.華やかな気分』
質問5 (この質問だけ Yes か No でお答え下さい)
その時のあなたの情緒は、安定していますか?
以上で質問は終わりです。ハイ、これで、あなたもブルースが弾けるようになります。しかも『それっぽく』ではなく『心から理解して』です。
答え合わせをします。が、その前に、また下のメジャースケールとそれを構成する音の名前をまとめたスケールグラフを見てください。そして、スケールやコードの特徴を変える力を持つヤンチャ坊主達『メジャーと名前の付く4つの音』に注目してください。
※ヤンチャ坊主達の役割については以前の記事『メジャースケールの優等生とヤンチャ坊主』と『悪魔の音程』を参照してください。
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※下の黒いグラフの並びがメジャースケールになります。
質問1で『A』と答えた人は『M2』を前の空席に移動して演奏します。『B』と答えた人は『M2』の席を移動せずに演奏します。
質問2で『A』と答えた人は『M3』を前の空席に移動して演奏します。『B』と答えた人は『M3』の席を移動せずに演奏します。
質問3で『A』と答えた人は『M6』を前の空席に移動して演奏します。『B』と答えた人は『M6』の席を移動せずに演奏します。
質問4で『A』と答えた人は『M7』を前の空席に移動して演奏します。『B』と答えた人は『M7』の席を移動せずに演奏します。
最後の質問5ですが、これがとても大切です。
質問5で『No』と答えた人だけ『P5』を前の空席に移動して演奏します。
『どちらでもない』と答えた質問の箇所は、無理にその音を入れて演奏する必要はありません。
ちなみに、この質問を私もやってみました。私の答えは以下のようになりました。
質問1・・・B
質問2・・・A
質問3・・・B
質問4・・・A
質問5・・・No
私の答えを元に、スケールグラフに音を表していきます。
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※緑色の丸が私の選んだ音です。
※元の音となるP1度とその1オクターブ上の音P8度は、キイを決める大切な音ですので、無条件で演奏できます。
さらに、そのP1度に対して良い響きの『完全(P)』と名前の付く4度と5度の音(優等生ですね)も、演奏しても問題ありません。
皆さんの答えはいかがだったでしょうか?
ご自分でスケールグラフに『自分の奏でる音』=『自分のブルース』を表して、演奏できる方はしてみて下さい。
その音を使った演奏こそ、正に、あなただけの本物のブルースとなります。
これに対して、いわゆる一般的にブルースを演奏する時に使われる一番シンプルな『ブルース・スケール』を、参考のためにスケールグラフに表してみます。
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※青色の丸がブルース・スケールの音です。
『私(橋本真也)のブルース』と『ブルース・スケール』の違いは、2度と6度ですね。私のブルースは、M2度とM6度の音が入っていますが、ブルース・スケールには、そもそも2度と6度の音は入っていません。
私のようにM2度を入れると、P1度からm3度まで飛んで移動することによって奏でられる『突然の暗さ』が少し薄れます。P1度とm3度の間に1音M2度を入れることで『静かな暗さ』となる訳です。
正に、悲しいことがあった時に布団にもぐってしまうよな私の性格にマッチしていると言えます。
そして、6度。これは、悩みました。大切な人を失って『優しさ』を感じるのか?ということ。
大切な女性といったら、もう限られてしまう訳ですが。仮に彼女を失ってしまったら、もちろん猛烈に悲しいのです。が、きっと、彼女が残してくれた『優しさ』は常に感じているのだと思います。傍にいなくても、直ぐ近くで寄り添ってくれているような・・・。
という訳で、あえてM6度を加えてみました。
ちょっと、書いていて本当に悲しくなってしまったのですが。まとめます。
実は、ある事を想定して(ここでは大切な恋人を失うこと)それぞれのブルースを作ったとしても、人間の感じることはやはり似かよってくる訳です。
例えば、大切な人を失って『明るく』なる人はいない訳ですし、『華やか』な気分にもなれない訳です。
なので、『ブルース・スケール』とは、『みんなのブルースを集計して一番多かった音を集めてみました』ということに他ならないんです。
だから、ブルース・スケールをその通りに弾いても、確かに『ブルースっぽく』なる訳ですが。自分の心から発せられる本来のブルースとは、やっぱり何だか違うような気がしてしまうんですね。
このように、メジャースケールとそれを構成する音たちの性格さえ覚えていれば、その他のスケールを覚える必要はほとんどありません。これは、ブルース・スケールに限ったことではなく、他のスケールにも言えることです。しかも、コードを作る上でも当てはまる考え方です。
確かに、スケールやコードをそのまま覚えれば、簡単に『それっぽく』なるので、便利です。ですから、使える時にはドンドン覚えて使っていって良いと思います。
ただ『スケールやコードを覚えないとギターリストとしてのレベルが上がらない』ということは絶対にありません。
むしろ、気持ちや心の中を演奏することが良い演奏なら、その逆だと言えると思います。
音楽理論とは、スケールやコードを覚えるといった受身の学問ではありません。
スケールやコードをどうやって作っていくのか?どうやって自分の気持ちや心の中をギターで表現していくのか?
自分の思い通りに創造していくために学ぶものなんです。
少しは、音楽理論に対してのハードルが低くなりましたでしょうか?
☆関連記事【マイナースケール】
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【初心者・独学ギターリストの強い味方】とにかくギターを弾きたいという方へおすすめの教材です!
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さて。昨日は、ブルースの音源だけではなく、歴史的背景やブルースマンの生き方などを少しだけ理解するために、映画『CROSSROADS』を観た訳ですが。
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例えば、この映画を観て多少ブルースが分かったとして・・・
じゃあいったい、ギターでブルースをどうやって弾くの?
ってことになる訳です。当然ですよね。
一般的には、ギターリストが『ブルースっぽい』フレーズを演奏しようとする時には、『ブルース・スケール』あるいは『ブルーノート・スケール』といわれるものを使ったりします。
でも、映画『CROSSROADS』を観るとですね、この『スケール』という言葉が、何だか『ブルース』という文化にマッチしていないことが理解できるんです。何だか分からない『違和感』がある訳です。
まぁ、当然なんです。そもそも『スケール』とは西洋音楽の概念ですので、それをブルースに当てはめようとしている訳ですから、それこそ師匠ウィリー・ブラウンに『学校仕込みのスケールなんか、フンッ』と、かなり下品な言葉で怒られてしまう訳です。
もしこの映画を観て、『スケール』と『ブルース』の間に『違和感』を感じたら、あなたもブルースマンに近づいている証拠です。喜んで下さってOKです。
では、なぜギターリストはブルースを演奏する時に『ブルース・スケール』を弾くのでしょうか?
答えは簡単です。それだけで『ブルースっぽく』なるからなんですね。
何も考えずにブルースらしい演奏が出来てしまうからなんです。これが、スケールの怖いところですね。
スケールは、ブルースに限らず、何かを『それっぽく』演奏する為に非常に便利なツールなんです。ですから、何でもかんでもスケールさえ覚えて弾けば良いと思っている『スケール至上主義』のギターリストは多いと思います。
もちろん、それが全て悪いとは言いません。それで素晴らしい演奏が出来れば、OKなのですから。
ただ、この辺りが、ギターを始めようとする人たちにとっての『壁』になっている可能性もあるのではないか?と思う訳です。
今、本棚にあるJAZZのバイブルを見ましたら、載っているスケールが全部で19ありました。
JAZZを始めようとする人がこのバイブルを見て、『これを全部覚えないとJAZZは演奏できないのか・・・』と思い、やる前に挫折する確率は高いです。仮に、頑張って覚えようと思っても、途中で挫折するか。全部覚えても、その『使い方』が分からず、結局JAZZを1曲も演奏せずにギターを置いてしまう確率も、やはり高いでしょう。
さらに、『音楽理論の勉強』と聞くと、このたくさんのスケールを覚えたり、もっとたくさん存在するコードを覚えたりしなければならないと思ってしまうらしく。そこで抵抗感が出てきてしまうんですね。
ここで断言しましょう。スケールは取り合えず『メジャースケール』だけ覚えれば十分です。
その証拠に、『メジャースケール』を利用して『ブルースを心から理解して演奏する方法』を、今から解説します。
昨日ご紹介した映画『CROSSROADS』。その中のウィリー・ブラウンの台詞に「ブルースは失った女を想う、男の悲しみだ」というものがあります。
全てのブルースがその思いだけで出来ている訳ではありませんが、こういった身近な感情を音に込めて演奏していくのがブルースだということは言えると思います。
ですから、ここでは『あなたが、大切な恋人を失った時の感情』を音で表現してみたいと思います。それが出来れば、心から理解してブルースを演奏することになる訳です。
今から、いくつかの質問をしていきますので、『あなたが、大切な恋人を失った時のこと』を思い出しながら(経験が無い方は想像しながら)どちらかを選んでいって下さい。
※3つ目の選択肢として『どちらでもない』という選択も有りです。
質問1
その時のあなたの行動は?
『A.周りのもの全てを破壊したい』or『B.静かにしていたい』
質問2
その時の感情は?
『A.暗い』or『B.明るい』
質問3
その時に感じることは?
『A.優しさは感じない』or『B.優しさを感じる』
質問4
その時の気分は?
『A.憂鬱な気分』or『B.華やかな気分』
質問5 (この質問だけ Yes か No でお答え下さい)
その時のあなたの情緒は、安定していますか?
以上で質問は終わりです。ハイ、これで、あなたもブルースが弾けるようになります。しかも『それっぽく』ではなく『心から理解して』です。
答え合わせをします。が、その前に、また下のメジャースケールとそれを構成する音の名前をまとめたスケールグラフを見てください。そして、スケールやコードの特徴を変える力を持つヤンチャ坊主達『メジャーと名前の付く4つの音』に注目してください。
※ヤンチャ坊主達の役割については以前の記事『メジャースケールの優等生とヤンチャ坊主』と『悪魔の音程』を参照してください。
※下の黒いグラフの並びがメジャースケールになります。
質問1で『A』と答えた人は『M2』を前の空席に移動して演奏します。『B』と答えた人は『M2』の席を移動せずに演奏します。
質問2で『A』と答えた人は『M3』を前の空席に移動して演奏します。『B』と答えた人は『M3』の席を移動せずに演奏します。
質問3で『A』と答えた人は『M6』を前の空席に移動して演奏します。『B』と答えた人は『M6』の席を移動せずに演奏します。
質問4で『A』と答えた人は『M7』を前の空席に移動して演奏します。『B』と答えた人は『M7』の席を移動せずに演奏します。
最後の質問5ですが、これがとても大切です。
質問5で『No』と答えた人だけ『P5』を前の空席に移動して演奏します。
『どちらでもない』と答えた質問の箇所は、無理にその音を入れて演奏する必要はありません。
ちなみに、この質問を私もやってみました。私の答えは以下のようになりました。
質問1・・・B
質問2・・・A
質問3・・・B
質問4・・・A
質問5・・・No
私の答えを元に、スケールグラフに音を表していきます。
※緑色の丸が私の選んだ音です。
※元の音となるP1度とその1オクターブ上の音P8度は、キイを決める大切な音ですので、無条件で演奏できます。
さらに、そのP1度に対して良い響きの『完全(P)』と名前の付く4度と5度の音(優等生ですね)も、演奏しても問題ありません。
皆さんの答えはいかがだったでしょうか?
ご自分でスケールグラフに『自分の奏でる音』=『自分のブルース』を表して、演奏できる方はしてみて下さい。
その音を使った演奏こそ、正に、あなただけの本物のブルースとなります。
これに対して、いわゆる一般的にブルースを演奏する時に使われる一番シンプルな『ブルース・スケール』を、参考のためにスケールグラフに表してみます。
※青色の丸がブルース・スケールの音です。
『私(橋本真也)のブルース』と『ブルース・スケール』の違いは、2度と6度ですね。私のブルースは、M2度とM6度の音が入っていますが、ブルース・スケールには、そもそも2度と6度の音は入っていません。
私のようにM2度を入れると、P1度からm3度まで飛んで移動することによって奏でられる『突然の暗さ』が少し薄れます。P1度とm3度の間に1音M2度を入れることで『静かな暗さ』となる訳です。
正に、悲しいことがあった時に布団にもぐってしまうよな私の性格にマッチしていると言えます。
そして、6度。これは、悩みました。大切な人を失って『優しさ』を感じるのか?ということ。
大切な女性といったら、もう限られてしまう訳ですが。仮に彼女を失ってしまったら、もちろん猛烈に悲しいのです。が、きっと、彼女が残してくれた『優しさ』は常に感じているのだと思います。傍にいなくても、直ぐ近くで寄り添ってくれているような・・・。
という訳で、あえてM6度を加えてみました。
ちょっと、書いていて本当に悲しくなってしまったのですが。まとめます。
実は、ある事を想定して(ここでは大切な恋人を失うこと)それぞれのブルースを作ったとしても、人間の感じることはやはり似かよってくる訳です。
例えば、大切な人を失って『明るく』なる人はいない訳ですし、『華やか』な気分にもなれない訳です。
なので、『ブルース・スケール』とは、『みんなのブルースを集計して一番多かった音を集めてみました』ということに他ならないんです。
だから、ブルース・スケールをその通りに弾いても、確かに『ブルースっぽく』なる訳ですが。自分の心から発せられる本来のブルースとは、やっぱり何だか違うような気がしてしまうんですね。
このように、メジャースケールとそれを構成する音たちの性格さえ覚えていれば、その他のスケールを覚える必要はほとんどありません。これは、ブルース・スケールに限ったことではなく、他のスケールにも言えることです。しかも、コードを作る上でも当てはまる考え方です。
確かに、スケールやコードをそのまま覚えれば、簡単に『それっぽく』なるので、便利です。ですから、使える時にはドンドン覚えて使っていって良いと思います。
ただ『スケールやコードを覚えないとギターリストとしてのレベルが上がらない』ということは絶対にありません。
むしろ、気持ちや心の中を演奏することが良い演奏なら、その逆だと言えると思います。
音楽理論とは、スケールやコードを覚えるといった受身の学問ではありません。
スケールやコードをどうやって作っていくのか?どうやって自分の気持ちや心の中をギターで表現していくのか?
自分の思い通りに創造していくために学ぶものなんです。
少しは、音楽理論に対してのハードルが低くなりましたでしょうか?
☆関連記事【マイナースケール】
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【初心者・独学ギターリストの強い味方】とにかくギターを弾きたいという方へおすすめの教材です!
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Posted by sinya at 20:10
│音楽理論