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2013年07月22日

遠鳴りと側鳴り




【sinyaが開発!弾く脳トレ!よなおしギター】


昨日の記事でご紹介した『僕らが作ったギターの名器』という本、ギターリストの方には、ぜひ読んでもらいたいなと思います。

著者は、椎野秀聰氏。

モーリス・グレコ・ヤマハなど数多くのメーカーに携わり、伝説のHSアンダーソンやESP・ベスタクスなどのメーカーを立ち上げた方です。
椎野氏がいなければ、日本のギターもここまで発展しなかったのではないかと思えるほど、そのギターに対する愛とバイタリティーと経験・知識・分析力、とにかく凄いんです。
本書では、日本でのギターの流行や生産の歴史はもちろん、音に関する考察・ギターのルーツからギターの構造まで、エレキ・アコギを問わずたくさんの情報を得ることが出来ます。

まぁ、私の下手な説明より、やはり実際に本を読まれることをお勧めします。特に、私のように「国産のギターが好き!」という方は、ぜひ!

で、この『僕らが作ったギターの名器』の中のたくさんの有意義な情報の中で、実際に私が参考にして『試してみた』ことがあります。

本書に『遠鳴りと側鳴り』という項目があります。

これは、アコースティックギターの鳴りに関してで。ギターには『遠鳴りするギター』と『側鳴りするギター』があるということなんです。
その特徴は、以下のようになります。

・遠鳴りするギター・・・手元ではそれほど大きな音に感じないが、音量が減退せずに音が遠くまで届くギター。

・側鳴りするギター・・・手元ではとても大きな音で鳴っているが、離れた場所ではモコモコとしたひと塊の音にしか聴こえないギター。

簡単ですが、まとめるとこのようになるようです。

繊細な音から迫力のある音までプレイヤーの演奏をストレートに表現し、さらにそれに加え、その音を減退させることなく遠くまで届けることが出来るギターは、楽器としての完成度が高いということなんです。
そんな誤魔化しの効かない完成度の高い楽器は、もちろん弾き手を選ぶでしょう。が、それでも、この『遠鳴り』と『側鳴り』に関しては、どんな価格帯のギターを選ぶ時にも参考にすると良いと思います。

椎野氏も本書で書かれていますが、楽器店でギターを選ぶ際、気になるギターを友達や店員さんに弾いてもらい、自分は離れたところで聴いてみるというのも1つの手です。
自分で弾いていた時には「大きくて良い音」と感じていたのが、離れて聴くとそれ程の音ではなかったり。もちろん、その逆も考えられる訳です。

ただ、その場合の注意点はあります。
ブログでも何回か書いていますが、ギターの音を決める要素として『個性』は、もの凄く大切です。
要は、同じギターを弾いても、自分と他人では出る音が違ってきてしまう。ということは、自分で弾いた音を聴いた時と、他の人が弾いた音を離れた場所で聴いた時と、その『音の違い』が、果たしてギター本体によるものなのか、弾き手の個性によるものなのか、あるいは、その両方がどれほどの割合で関係しているのか、それを正確に聴き分けるのは至難のワザとなる訳です。

もちろん、楽器店でギターを選ぶ時には、自分がこれから弾いていくギターを選ぶ訳ですから。本来なら『自分で弾いた音を離れた場所で聴く必要がある』ことになります。

そんなことは可能なのでしょうか?

私がいつもお世話になっている楽器店では、高いギターが入荷すると、私に「入りましたよ、弾いて下さい」と、とっても親切にセールストークをしてくださる店員さんがいらっしゃいます。
それならば、と、ある時、まとめてゆっくり試奏する時間を設けさせていただきました。

そちらの楽器店では、各種音楽教室もやっていますので、店内にたくさんのスタジオがあります。昼間の、比較的お店が空いている時間帯で、あらかじめ店員さんに頼んでおけば、そのスタジオの1つを使って思う存分に試奏をさせてくれます。

で、私も、3本のギターをたっぷりと試奏させてもらいました。以下の3本です。

1.コリングス O2H
2.K・ヤイリ YFOOO28
3.アストリアス OMタイプ

どれも非常に良いギターだと思います。これ以下は、あくまでも私が私の弾き方で感じた評価になりますので、ご了承下さい。

まず、3本のギターを順番に座って弾いてみました。フラットピックを使ったストローク・サムピックでのフィンガーピッキング・ピックを使わないアルペジオなど、私が普段からよく使う弾き方です。

この状態で自分の耳に入ってくる音は、当然『側で鳴っている音』ですね。

で、一番良い音に感じたのでは、2番のコリングスです。

以前もご紹介しましたが、音のカプセルに包まれているような、とても温かい音なのに、高音の出方が非常に気持ちが良いんです。
私自身、音に関して語れるほど聴き分けられる耳を持ち合わせている訳ではありませんが、O2Hが『弾いていて気持ちが良いギター』であるのは間違いありません。

次に良いと思ったのが、3番のアストリアスです。

3本の中でボディは一番大きいのですが、単純に、音の大きさはコリングスの方が上です。音質は、かなりハッキリした感じで『シャキッ!』としています。弾いていて気持ちが良いのですが、コリングスに比べると音量が低い分、何か物足りなさを感じます。

自分が大好きなアストリアスのギターなので、何だか負けたような気がして少し残念でした。これは、コリングスの出来の良さを素直に評価するべきですね。ホントにコリングスは良いギターだと思います。

で、この試奏には続きがあります。それが『遠鳴りの状態』の確認です。

実は、このささやかな試奏会の時、スタジオ(結構広いです)のギターを弾いた場所の対角線上の隅に『ZOOM H4』を設置していました。で、試奏の模様を全て録音しておいたんです。

これなら、自分で弾いた音を離れた場所で客観的に聴いたこととほぼ同じ状態になりますよね。

楽器店の店員さんに、試奏をさせてくれたことに感謝の意を表し、自宅に帰ってからその録音を聴いてみました。

で、ちょっと驚いてしまったんです。

自分で弾いて側で音を聴いている時には、コリングスの音は『カプセルに包まれているような温かい音』と表現しましたが、録音された音(離れた場所の音)は、若干ではありますが、モコッとした音に聴こえたんです。
要は、近くで聴く分には音に包まれているので気持ちが良いのですが、離れて聴いてみると、その包んでいる『カプセル』が邪魔をして、大袈裟に言えば『音を遮断している』ような感じに聴こえるんです。

一方。自分で弾いている時には『物足りなさ』を感じたアストリアスのギターは、録音された音を聴くと、それが『音の抜けの良さ』だったことに気が付きます。
自分で弾いて側で聴いている音が、そのまま遠くまで届いているような感覚。とても素直な音で、離れた場所での音量に関しても、コリングスの音よりも若干ですが、大きな音に聴こえます。

恐らく、値段やメーカーを考えずに、座って弾いた音だけを頼りにギターを選べば、この3本の中ではコリングスを選びます。
ただ、離れた距離での音までを加味すれば、アストリアスとコリングスと、もの凄く迷うことになるでしょう。あとは、メーカや値段はもちろん、自分のギタースタイルなどを考慮して選んでいくことになると思います。

すみやさんのご協力のもと、実験的に行ったささやかな試奏会ですが、かなりの収穫がありました。
これが、椎野氏の言うところの『遠鳴り』『側鳴り』なのか、私には分かりません。ただ、確かに『自分で弾いて側で聴く音』と『離れた場所で聴く音』とでは、明らかに音が変わるのは確かです。

これからギターを購入される方の、少しでも参考になれば幸いです。

ちなみに、今回の記事で登場した3本のギターは、いずれも新品ですが、生産された年はバラバラです。で、どこにどんな状態で保管されていたかも定かではありません。そもそも、ボディの大きさも形状も違いますし、使っている材の種類も違います。そして、値段にも大きな差があります。
このようなバラバラの個性を持つギターを比べることに、意味は無いのかもしれませんが。今回は、あくまでも『遠くの音と側の音の違い』を聞き比べてみたかったので、その辺りのことはご了承下さい。

そして、やはりアコースティック・ギターは『生音』で聴き比べるのがベストだと思います。今回は『自分で弾いている音を離れた場所から聴く』手段として『ZOOM H4』を使いました。当然、録音された音は生音ではありません。
ただ、相対的に、複数本のギターの音を比べるのならば、この方法も有りなのではないかと思います。
実際には、友達や店員さんに弾いてもらって、離れた場所からの『生音』も聴いた上で、総合的に判断すると良いかもしれませんね。

いずれにしろ、これから一緒に生活することになる相棒を選ぶ訳ですから、自分が納得した状態で決めるのが一番だと思います。


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何回でも読める本です。私もまたジックリと読み返します。
僕らが作ったギターの名器 (文春新書)




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遠鳴りと側鳴り


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Posted by sinya at 16:04 │機材