メジャー的ソロの作り方 ペンタトニックスケール編

sinya

2013年04月05日 00:13

【sinyaが開発!弾く脳トレ!よなおしギター】


ギターリスト、特にロック系のギターリストにとって、非常にお馴染みのスケールがあります。
エレキギターを手にして、教則本を1冊でも買えば、必ず最初の方にそのスケールは載っていると思います。

『マイナー・ペンタトニックスケール』です。

聞いたことありますか?
『マイナー・ペンタトニックスケール』の理論的な解説や使い方などは、また後ほどさせて頂きますが。
とにかく、もしこのスケールが無かったら、『ロックギター』が現在のような地位を確立することは出来なかったでしょう。と言っても過言ではありませんね。

さて、実は『ペンタトニックスケール』というものは、この『マイナー・ペンタトニックスケール』以外にも数多くのものが存在します。

そもそも『ペンタ』とは、ギリシャ語で『5』を表す言葉です。英語の『ペンタゴン(五角形)』も、『ペンタ』が使われていますよね。
なので、『ペンタトニックスケール』を日本語にしますと『五音音階』となります。
どういう事かと言いますと・・・

『ペンタトニックスケール』とは『1オクターブの中に5つの音が存在するスケール』ということなんです。

本来、西洋音楽のスケールは、Cメジャースケールのように、1オクターブ内に7つの音が存在します。なので、ペンタトニックスケールは、それよりも音が『2つ少ない』ことになりますね。
1オクターブの距離は、全時代全世界共通ですので、その決まった距離の中で音の数だけが少なくなれば、当然、それだけ『音と音の距離が離れる場所』が出てくる訳です。

そうなると、そのスケールはどんなメロディを奏でるのでしょうか?

隣り合う音同士の距離が最長でも『全音』しかないCメジャースケールのように、滑らかでキレイなメロディを奏でることは難しいでしょう。もっと『極端で特徴的』なメロディを奏でることになると思うんです。

そもそも『ペンタトニックスケール』とは、国や地域によって全く違う音楽の『特徴』を、何らかの形で定義付ける為に、文字通り『スケール(定規)』に当てはめていって、決定していったものだと思います。

まぁ、簡単に言えば、西洋の音楽家達が『あの辺の音楽は、この5つの音を使って曲を作ったらそれっぽくなるよ』と、勝手に決めていったものだと思うんです。

で、実は。我々の国にも、このように公式に認められた『ペンタトニックスケール』が存在します。
『この5つの音を使って曲を作ったら、日本の音楽っぽくなるよ』というスケールです。
聴いてみて下さい。

日本のペンタトニックスケール



この日本の『ペンタトニックスケール』を五線譜に表すと、以下のようになります。(※ドの音から始めた場合の譜面です。)




ご覧のように、ドレミファソラシドの『ファとシの2音』が抜けていますね。
Cメジャースケールでは、ファは『四度』、シは『七度』になりますから、この音階のことを『ヨナ(四七)抜き音階』と言います。

これは、先ほど説明したように、西洋音楽の概念の中での名付けで、『この5つの音を使って曲を作ったら、日本の音楽っぽくなるよ』という事なんですが。何だか簡単に括られているようで、ちょっと悔しい感じがしますよね・・・。

果たして本当に、この5つの音を使うと日本の音楽っぽくなるのでしょうか?

ハイ、結果から言いますと、この5つの音を使うと、丸々日本の音楽っぽくなります。
我々が小さい頃から慣れ親しんでいる童謡や民謡は、そのほとんどがこの音階から出来ている上、演歌やJ-POPまで、この音階で作られている曲は今でもたくさんあります。
最も、国歌である『君が代』からして(始まりの音は違いますが)『ヨナ抜き音階』とおなじ並びのスケールで作られているんですから・・・。

これはもう、すっかり西洋音楽家に、日本の音楽を見透かされ定義付けられてしまったことになります。

ちなみに、『ヨナ抜き音階』の隣り合う音同士の並び順は、ピアノの黒鍵と全く同じになります。ですから、ピアノの黒鍵だけを使って、ほとんどの童謡や民謡、君が代を演奏することが可能なんですね。面白いです。

例として、1曲だけ詳しく見てみましょう。
童謡『赤とんぼ』を、スケールとの関係性が非常によく分かる楽譜に表したいと思います。
スケールとの関係性がよく分かる楽譜というと・・・そうです『度数譜』ですね。



ご覧のように、童謡『赤とんぼ』は、見事に4度と7度の音が無い(ヨナ抜き)ですね。


さて、日本には、この『ヨナ抜き音階』以外にもまだ『ペンタトニックスケール』が存在します。
そのスケールをギターで弾きましたので、聴いてみてください。

ヨナ抜き音階以外のペンタトニックスケール



どうですか?このスケールを聴いただけで、思い浮かぶ日本の地域がありますよね?
もっと分かりやすく、リズミカルに弾いてみます。




そうです、沖縄ですね。
独特の音楽文化を発展させた沖縄の音楽は、このスケールを弾くと非常にそれっぽくなるんです。
『沖縄スケール』とか『琉球スケール』と呼ばれています。
失礼ながら、上の音源の後半は、本当に適当に弾いていますが、とても『沖縄っぽい』ですよね。これが、ペンタトニックスケールの凄いところなんです。


このように、5つという限られた音で構成されているからこそ、顕著に特徴を表すことが出来る『ペンタトニックスケール』は、『日本っぽい音楽』も『沖縄っぽい音楽』も、簡単に作ってしまうことが出来る、非常に便利なツールであると言えます。
これなら、西洋音楽家が、スケールに当てはめて定義付けたくなるのも分かる気がするんですが・・・。そもそも『日本っぽい音楽』あるいは『沖縄っぽい音楽』の定義って、どんな感じなのでしょう?

人によって感じ方に違いはあると思いますが、私は、『ヨナ抜き音階』で作られるような『日本っぽい音楽』とは、どこか叙情的でもの哀しく、それでいてとても優しい感じがするんですよね。

一方の『沖縄スケール』で作られる『沖縄っぽい音楽』は、とっても陽気で明るく、元気が出る感じがします。


西洋音楽の7つの音で構成されているスケールから、どの2つの音を抜くかによって、様々な特徴の曲を作る為のスケールが出来てしまう。そのスケールで、その地域の文化や人々の生き方・性格までも表してしまうんですから、とっても面白いですよね。


今回の解説をまとめます。

☆『ペンタトニックスケール』とは、1オクターブの中に5つの音が存在するスケールです。

☆『ペンタトニックスケール』は、国や地域などによって異なる音楽の特徴を『それっぽく』演奏するのに適しています。

☆日本にも『ヨナ抜き音階』というペンタトニックスケールが存在し、『物哀しい』あるいは『優しい』雰囲気の曲を演奏するのに適しています。

☆日本には『沖縄スケール』というペンタトニックスケールも存在し、『スゴク明るい』『陽気な』雰囲気の曲を演奏するのに適しています。


『メジャー的なソロの作り方』として進めている記事ですが、なかなか本題に入りませんね。
でも、今回解説した『ペンタトニックスケール』に対する認識は、後々とても大切になりますので、ポイントをしっかり押さえておいて下さい。


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