メジャー的ソロの作り方 メジャー的ソロの必要性編

sinya

2013年04月07日 22:33

【sinyaが開発!弾く脳トレ!よなおしギター】


ビートルズのジョージ・ハリスンは、キイがC(シーメジャー)の『Let It Be』のソロに『Aマイナー・ペンタトニックスケール』を使いました。

そんな『Let It Be』のソロを、もう少し詳しく見てみましょう。

このソロが『Aマイナー・ペンタトニックスケール』で作られているとすると、使っている音は5つです。
その5つの音は『ペンタトニックスケール編』の時に解説したように、『マイナースケールの特徴を顕著に表す為』にマイナースケールの中から選ばれた音です。
言ってみれば、マイナースケールの中で大切な音をピックアップしていったものなんです。

マイナースケールの中でも、その特徴を顕著に表す大切な音は、以下の5つでしたね。

<P1> <m3> <P4> <P5> <m7>

これを、Aマイナー・ペンタトニックスケールに限れば、その5つの音名は以下のようになります。

<ラ> <ド> <レ> <ミ> <ソ>

確認の為、音をもう一度聴いてみましょう。




しつこいようですが、『Let It Be』では、この『Aマイナーペンタトニックスケール』を使ってソロを作っています。が、それは、あくまでもCメジャースケールと同じ音が使われているからであって、実質的には『Cメジャースケールを使ってソロを作っている』ことになります。
ですので、この5つの音も、本来は、ルート音(1度の音)を『C(ド)』として考えるべきなんです。

と言っても、そんなに難しいことではありません。
Aマイナー・ペンタトニックスケールを、C(ド)から始めて演奏してみればよいのです。

<ラ> <ド> <レ> <ミ> <ソ> 

という並びを

<ド> <レ> <ミ> <ソ> <ラ>

にするだけです。使う音は一切変えていません。

では、このAマイナー・ペンタトニックスケールを『C(ド)』から始めたものを五線譜に表してます。



あれ?どこかで見たことありますね。

今度は、上の五線譜に表されたスケールの音を聴いて見ましょう。




うん。やっぱりこの音階は、聴いたことがあります。

もっと詳しく解析する為に、『Let It Be』のソロを、スケールとの関係性が非常に良く分る楽譜・・・そうです!度数譜にして確かめてみましょう。

『Let It Be』のソロの度数譜は、以下のようになります。



ご覧のように、C(ド)をルート音として表すと、見事に『4度(ファ)』と『7度(シ)』がありませんね!

そう、これは、日本特有のペンタトニックスケール『ヨナ抜き音階』そのものです!

ジョージは、ロックっぽいソロにする為に『Aマイナー・ペンタトニックスケール』を使ってフレーズを作りました。それは『Cメジャースケール』を使って演奏していることと同じなのですが、そこまでは当然、ジョージ自身も把握しての演奏です。でもまさか、日本特有の『ヨナ抜き音階』と全く同じスケールを使っていたとは、知る由も無かったでしょう。

『ペンタトニックスケール編』でも解説した通り、日本特有の『ヨナ抜き音階』は、どこか叙情的でもの哀しく、それでいてとても優しい感じがするんですよね(私感です)。

まさに、『Let It Be』には、うってつけのスケールと言えます。

日本特有の『ヨナ抜き音階』が、こんな世界的に活躍しているなんて、何だか嬉しいですね。


前回解説しましたように、マイナー・ペンタトニックスケールは、ロック的なフレーズを作るのに最も適したスケールと言えます。
スケールの形や、チョーキングが出来る場所など、技術的にも非常にロックにマッチしていますし。歴代のロックギターリスト達による使用頻度は、ダントツに高いでしょう。

そんなマイナー・ペンタトニックスケールが、今回の特集記事で取り上げている『完全にメジャーな曲』に対しても、凄いポテンシャルを秘めていたんですね。
使い方によっては、ロックっぽい雰囲気を出しつつ、どこか叙情的でもの哀しく、さらには、優しい雰囲気まで出すことが可能なのですから、これほど素晴らしいスケールは無い訳です。

ところがです。特集記事の最初に書いたように、我が師である『岩見和彦氏』は、それを『善し』とはしませんでした。

何故なんでしょうか?

マイナー・ペンタトニックスケールは、見てきたように、イロイロな表現が可能で、応用の利く、非常に便利なスケールです。
ただ、逆に言いますと、マイナー・ペンタトニックスケールがあまりにも便利な為、それ以外のスケールを使って演奏をする必要がなくなってしまう。マイナー・ペンタトニックスケールを使って何でも無難に演奏できてしまうので、ギターリストとして、それ以上のレベルアップが無くなってしまう。
もっと言うなら、マイナー・ペンタトニックスケールから抜け出せないギターリストが、たくさんいる。
趣味でギターやバンドをやっている方は、もちろんそれで十分だと思います。生涯マイナー・ペンタトニックスケールだけで演奏していても、全く問題無い訳です。
ただ、専門学校に入って、しっかりした応用の利く技術を身に付けようという人間が、マイナー・ペンタトニックスケールしか使えないのは、やはりダメなんだと。岩見氏は、自身の経験から感じていて、それを我々に伝えたかったんだと思うんです。

そこで今回、『メジャー的ソロの作り方』という特集記事を組んで、今、私が分っていることだけではありますが、記事にすることによって、1人でも多くのギターリストが『マイナー・ペンタトニックスケールから抜け出す』キッカケとなったら幸いだなと、思った次第です。

という訳で、次回からはイヨイヨ、マイナー・ペンタトニックスケールからの脱却を試みてみましょう。


今回のまとめです。

☆Aマイナー・ペンタトニックスケールを『C(ド)』から始めると『ド・レ・ミ・ソ・ラ』になります。

☆『ド・レ・ミ・ソ・ラ』は、日本特有の『ヨナ抜き音階』と全く同じ構成音です。

☆『Let It Be』のソロが、ロックっぽいのに、どこか叙情的でもの哀しく、それでいてとても優しい感じがするのは、『ヨナ抜き音階』と全く同じ音を使っているからです。

☆マイナー・ペンタトニックスケールは、万能薬です。ただ、使い過ぎると、それ無しではいられなくなる危険性があります。ギターリストとしてレベルを上げる為には、マイナー・ペンタトニック以外のスケールを使ったフレーズやソロも演奏できるようにしたいですね。


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