メジャー的ソロの作り方 マイナーペンタからの脱却編

sinya

2013年04月09日 00:28

【sinyaが開発!弾く脳トレ!よなおしギター】


イロイロな表現が可能で、応用の利く、非常に便利なスケールである『マイナー・ペンタトニックスケール』。
一方で、そのあまりの便利さ故に、このスケールから抜け出せないギターリストは、少なく無いと思います。

特集記事もイヨイヨ佳境です。

これ以後は、マイナー・ペンタトニックスケールを使わずに『完全にメジャーな曲』のソロやアレンジを考えていきたいと思います。

ただ、誤解の無いように付け加えておきます。
この特集記事で言いたいことは、マイナー・ペンタトニックスケールを使うことが『悪い』ということでは一切ありません。
マイナー・ペンタトニックスケールは、本当に優れたスケールだと思います。これだけで、例えば『Let It Be』のジョージのソロのような素晴らしいフレーズが演奏できたら、それ以上のスケールやアイディアは必要ないですね。

ただ、もし、これからイロイロなタイプの曲を作っていこうとする時、あるいは、自分が好きな曲とは違う雰囲気の曲をアレンジしなければならない時、そして、自分の好みが変わった時、などなど。ギターの経験年数が増すのに比例して、マイナー・ペンタトニックスケールだけでは物足りなくなる確立が上がっていくのも事実です。

これからの永いギターライフを考えれば、ギターリストとしての武器を増やしてみるのも、悪いことではないと思います。

では、これから一緒に、マイナー・ペンタトニックスケールを使わずに『完全にメジャーな曲』のソロ作りに挑戦しましょう。


私は以前、マイナー・ペンタトニックスケールの勉強をしていて気が付いたことがあります。

マイナーペンタは、『マイナースケールの中の大切な音から出来ている』と解説しましたよね。マイナースケールの大切な5つの音をピックアップして作ったら、マイナー・ペンタトニックスケールという非常に優れたスケールが出来たと。

それなら、同じように『メジャースケールの大切な5つの音をピックアップして』スケールを作ったら、それも非常に優れたスケールになるのではないか?と、思った訳です。

なにせ、元がメジャースケールなので、そうやって出来上がったスケールは『完全にメジャーな曲』のアレンジやソロを演奏するにはうってつけなのではないかと。

単純な発想ですが、何だか上手くいくような気がしませんか?

では、実際にやってみましょう。
『7つの音から出来ているメジャースケールの中の大切な5つの音をピックアップ』して、新たにスケールを作ります。

5つの音の選出については、マイナーペンタを作った時と同じ考え方で問題無いと思います。

キイを決める<1度>
メジャーかマイナーかを決める<3度>
パーフェクトの名を持つ<4度>と<5度>
スケールの性質に多大な影響を与える<7度>

以上の5つの音を抽出します。

仮に、キイをC(シーメジャー)としますと、Cメジャースケールの中の上記の5つの音名は以下のようになります。

<ド> <ミ> <ファ> <ソ> <シ>

これを、五線譜に表してみます。


ここまでは順調ですね。何だか、上手くいきそうです。

それでは、この5つの音を使ったスケールの実際の音を聴いてみましょう。




うん?どこかで聴いたことがある音階ですね・・・。

分りやすいように、リズムを変えてみます。




こ・これはっ!『沖縄スケール』だ!

マイナーペンタが作られた過程を真似して、メジャースケールの中から大切な5つの音をピックアップして新しいペンタトニックスケールを作ったら、『沖縄スケール』になってしまいました・・・。

確かに、このスケールならメジャー(明るさ)の極みですね。もちろん、悪い訳ではありませんが、我々が目標としている『完全にメジャーな曲』である『スローテンポなバラード調の曲』には、ちょっと陽気すぎます。
まぁ、使い方によっては『島唄』のような、素晴らしい曲も出来ますが。我々がやろうとしている『Let It Be』や『I Won’t Stand In Your Way』などの欧米の曲には合わない気がします。

という訳で。この『メジャースケールから5つの音を抽出して新しいスケールを作る』作戦は、一瞬にして失敗に終わりました。

手詰まりです。

もっと、落ち着いて堅実に。実際の曲から学ぶ方向に舵を切りたいと思います。

我々がソロとして目標としている『完全にメジャーな曲でメジャー的にアレンジ』している曲の代表として取り上げたStray Cats『I Won’t Stand In Your Way』を、もっと細部まで研究してみましょう。

ますは、もう一度、曲とそのソロを聴いてみましょう。

Stray Cats『I Won’t Stand In Your Way』(ギターソロ2:07~)



そして、ソロのコード進行を見てみます。




これ、パッと見ただけでも、複雑ですよね。『Let It Be』のソロ部分が、スリーコード+6度マイナーの4つのコードのみで出来ていたことに比べると、非常に複雑なコード進行になっています。

これだけ複雑だと、確かに、音数の少ないペンタトニックスケールでソロを作ろうとすることに、そもそも無理があるように思えます。

コードが複雑ということは、使われている音、奏でられている音がとてもたくさんあるということですね。それに対して5つだけの音では、太刀打ち出来ないであろう事は、容易に想像できます。

それでは、実施にこの曲のソロは、どんな音を使っているのでしょうか?

スケールとの関係性がとても良く分かる譜面・・・そう、度数譜で確かめてみましょう。



スミマセン。時間が無くて、まだ途中までしか譜面にしていないのですが・・・。
ただ、ここまでの譜面を見ただけでも、1~7までの全ての数字が、しかも、まんべんなく使われているのが分りますね。

1~7までの数字が使われているということは、メジャースケールの音が全て使われているということです。

この曲は、キイがE(イーメジャー)ですから、E(ミ)から始まるメジャースケールがまんべんなく使われていることになります。

ここに、『メジャー的ソロの作り方』のヒントが隠されているようです。

『メジャー的ソロ』を作る場合、ペンタトニックスケールのような、限られた音で構成されているスケールでは限界があります。特に、コード進行が複雑だったり、難しいコードを使っている場合には、ペンタトニックスケールではとても太刀打ち出来ない場合が多いんです。

ですから、複雑なコードやコード進行を持つ曲のアレンジやソロは、その曲のキイと同じキイのメジャースケールの音をまんべんなく使う必要があるのですが・・・。
メジャースケールの7つの音を使うと言われても、その7つの音で作ることの出来るフレーズは、それこそ無限大です。
マイナーペンタで演奏した時のように、『ロックっぽい』というシバリがあれば楽なんですが・・・。

いったい、メジャースケールの7つの音を、どうやって何っぽい感じで使っていったらイイのでしょうか?

次回は、その辺りのことを考えていきたいと思います。


今回のまとめです。

☆メジャー的ソロを作るための新しいペンタトニックスケールを作ろうとして、メジャースケールの大切な5つの音をピックアップしてみたら、『沖縄スケール』と同じになりました。

☆『沖縄スケール』は、陽気さが加わってしまうので、『完全にメジャーな曲』のアレンジやソロには向かない気がします。

☆『I Won’t Stand In Your Way』のように、複雑なコードやコード進行を持つ曲のアレンジやソロに、ペンタトニックスケールでは太刀打ち出来ない場合が多いんです。

☆実際の『I Won’t Stand In Your Way』のソロは、曲のキイと同じキイのメジャースケールの音が、全てまんべんなく使われています。


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